エネルギー教育全国協議会
サイトマップ お問合せ
エネルギをー考える。
ホーム
組織について
シンポジウム
エネルギー関連施設見学会
参考教材
おすすめサイト
おすすめエネルギー授業
お問合せ
シンポジウムのようす
シンポジウムインデックスへ戻る
第25回エネルギー教育シンポジウム in 東京
基調講演
基調講演
「新学習指導要領とインターネット教育・エネルギー教育」
向山 洋一氏

■知的障害の生徒の心を開いた向山型算数
 ある学校に知的障害の女生徒がいた。足し算も引き算も満足にできなかった子だったのが、向山方式の授業を受けた結果、足し算や引き算だけではなくさらに割り算、掛け算もできるようになり、黒板に出て積極的に問題を解くようになった。また、向山型算数の指導により、他の生徒たちの多くも算数が好きになり、クラスの平均点がかなり上がった。これは、向山型算数の持つテンポの良さが生徒の心をつかんだという1つの例である。

■インターネットを活用した授業の必要性とTOSSランド
 インターネットを活用した授業は、今後益々重要になると考えられる。現在アジアで最も進んでいるのがシンガポールで、2人に1人の子どもがパソコンを扱うことができ、さらに全ての授業時間の30%がインターネットを活用した授業であるとの報告も受けている。
 現在、インターネットによる産業振興や教育の推進等などは世界各国で盛んに行われているが、その動きには4つの段階がある。第1が優秀なコンピュータ機械を作ること、第2がその中に動かすOS・ソフトを作ること、第3が編集作業を行うこと、第4がコンテンツの中身のクオリティを上げることである。現在では第3段階にあると思われるが、我々TOSSが作ったホームページ「TOSSランド」は、専門店としての編集作業が国際的な諸競争の中で必要であると自覚したところから始まり、現段階では教育のポータルサイトとして世界最大・最高を自負している。普通の教室で国語、算数、理科、社会と様々なものに活用できるインターネットの中身を作り出すことを目的とし、現在ではディレクターなどを使ってコンテンツを作り始めている。約3000〜4000人の教師たちがボランティアで、自分たちの持っている裁量の情報を、授業ができるという形で作り上げており、現在までのアクセス数は180万近くにも上っている。

■エネルギーに関する授業の必要性
 総合学習的な教育の中でも特に「エネルギー教育」は重要であると思われるが、その理由としては、エネルギーが食料などと違い、国と国との戦争の原因になりやすいという点にある。
 例えば現在、世界有数の巨大油田を保有するナンサ諸島では、その領有権を巡り、中国、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、フィリピン、台湾の周辺6カ国が争っている。各国は既に軍事施設を造っており、武力衝突が続いている状態にある。これは石油という資源エネルギーをめぐる戦いであり、エネルギー問題の深刻さと根深さを表す一例といえる。このようなエネルギーをめぐる武力衝突が実際に日本に近い所で行われているという事実を、生徒たちに正しく伝えることは極めて重要であり、我々教師の大切な務めである。
 これらのエネルギー問題については、最先端情報を知る上でインターネットを活用することが極めて有効である。また、インターネットではそこでしか取り出せない情報も多く保有しており、これらを活用することは、正しい事実を伝えることが極めて重要であるエネルギー教育において有効である。
 また、インターネットから子どもたち自身が重要な情報について自ら取り出し活用できるようになることは、とても重要である。

■教育の全体的な基礎水準を上げる
 今から10年前に上海を訪れた時、上海師範大学付属小学校の5年生がオールイングリッシュの授業を受けていたのを見て衝撃を受けた。また同じ上海の普通の小学校では9年前の時点で2年生から週2時間、昨年からは1年生から週4時間の英語の授業を行っていたり、コンピューターはIBM製のものを10年前から使いこなしていたりしている。漢字についても、日本とは違い、中国では読みと書きを別々に教えているが、読みについては小学1年生の3ヶ月間にコンピューターを使い約1500字ほど学ぶという。これは、日本でいうと小学校中学校で学ぶ漢字の総数である。
 このような中国の子どもたちと日本の子どもたちが近い将来、国際舞台でぶつかりあうことには、大変な危惧を感じる。さらに、最近行った数学の国際比較では、日本の大学生は中国、韓国の学生と比較して平均点がかなり低いことが指摘されている。
 教育というものは好き勝手に行うものではなく、未来の国家の背骨を作っていくことを意味する重要なものである。それを考えると、教育はエリートの教育と同時に、できない子のレベルを上げていくという、全体の基礎的な水準を上げることが非常に大事である。

■基礎的な学力を評価するには
 生徒を評価する方法として、新しい教育指導要領では、以前の相対評価すなわち「履修システム」から、絶対評価すなわち「修得システム」へと移行している。修得システムは授業に出席しさえすれば先に進めるという履修システムとは異なり、ある知識を修得するまでは先に進めないシステムである。今後、生徒たちの基礎学力を育て、保障していくためには、修得システムのあり方が望ましいと考えられる。
 さらに基礎学力を保障するためには、「良い」「悪い」というような抽象的な評価ではなくて、何が良くてどう悪いのかという根拠を示す評価方法が必要となるだろう。

■障害を持った子に対する教育方針
 文部科学省に約6ヶ月前にADHDの研究部会ができた。ADHDは「注意欠陥多動性障害」といい、1つのことだけに熱中しすぎ、他のことが頭に入らないという特徴を持つ。1つのことに対しては素晴らしい集中力を発揮するので、エジソンや坂本龍馬がそうであったように、きちんとした教育を行えば優秀な人間になることも多い。日本人では出現率が5%、つまり30人学級に約2人は存在することになる。
 ADHDは障害であって、怠け者だとか躾が悪いという理由ではなく、脳の構造がそのようになっているだけである。そのような生徒に対し、一般の生徒と同じような授業を行っても意味がない。1つ1つ、その生徒に合わせてきちんと行うことを理解させる必要がある。生徒自身のことをきちんと理解して授業することが大切であり、そのような積み重ねが全体的な基礎学力を向上させるということに繋がっていくのである。

■新しい学習指導要領に向けて
 近頃、「支援」という言葉を「指導」とはきちがえている場面をよく見かけるが、「支援」とは教師による指導の一形態として、助言・励まし・手助け・注意などと共に使われ、子どもが主体的に学ぶことを前提とした言葉である。これに対し「指導」とは教師の教育的行為全てを包含した言葉である。「支援」を強調しすぎて子どもがしたいことをそのまま認め、教師は子どものすることを後押しする役割に徹するという偏った捉え方は大変危険であり、学級崩壊にも繋がる恐れがある。今後、特に新しい学習指導要領の中では、生徒に一定の能力を身につけてもらうため、生徒が好む好まざるとに関わらず、目標を実現できるように意図的に指導を行う必要がある。そのためには1人ひとりの生徒に対し、教師が責任・自覚を持って対応する必要があるだろう。
 日本は新しい学習指導要領により、新たに船出したところである。21世紀になって、国際人として最先端の様々な情報機器などを使いこなす能力や、種々の困難な問題に対し立ち向かう能力や勇気を育てるために、我々教師が生徒たちの力を育て、励まし、送り出す必要がある。そのような意味で、我々は大変かけがえのない、素晴らしい仕事をしているという自覚と責任を持って、今後も生徒たちと歩んでいきたい。
前のページへ戻る
シンポジウムインデックスへ戻る
Copyright © energy kyoiku zenkoku kyogikai.All rights reserved.
※当サイトに掲載しているPDF・記事・写真・図表などの素材に関して、学校授業以外の無断転載・利用を禁止します。